福建研修団として、福建料理(菜)の料理技術研修、名菜試食、素材調査、研究を終えてきて、まず感じた事は基本的に自然の恵みが豊かである事で、海があり、山もある亜熱帯の気候が1年中多種の収穫をもたらしている。特に野菜は美味かった。
毎日が宴席なので御飯を食べられなかったのだが、野菜が御飯代わりになるくらい食べていました。これは中国全土に言える事かも知れませんが、豪華な肉、魚料理を食べた後の締めくくりや途中に、必ず青菜の炒めが出るのは野菜の重要さを知っている意外にもコースの流れの大切さを熟知しているのだと思います。また、素材的に言えば日本のほうが綺麗な商品が揃っているが現地の物は味が良いと感じました。


 自分が四川料理をしているからかもしれませんが、福建料理は広東料理に少し似ている感じがしました。食材の味を生かしながら、その味を引き立てるために工夫して詰め物をしてみたり、調味料を加えていく工程等、仕上げた料理全体のバランスが良かったです。
 技術的な面では差は無いかもしれないようだが、中国的な感覚と言うのは今回凄く良く感じた部分でもある。例えば、食材の下処理から料理の仕上げの食感でもそうだが、工程でも些細な事ではあるが違う事は確かだ。特に表現と言う部分では彫り物は素晴らしい技術を見る事ができました。繊細で日本人には無い感覚で、彫りあがった物は素晴らしかったです。確かに日本では彫る材料の制限があるかもしれませんし、彫り物専属者をレストランにおいて運営しているところは余り聞いた事は無いですから仕方がないのかも知れません。
 名菜「茘枝肉」「佛跳墻」は福州の時代と共に育んできた名菜中の名菜で忘れる事のできない品々です。 また、福建省と言えばお茶(青茶)で、当初の予定には無かったのですが、福州へ着いた日に「武夷山は良いところですよ」と話をされた時、迷わず「是非行きたいです」と答えて予定に入れていただいたときは感激しました。突然の事でしたし、自分で訪れたくてもなかなか行ける様な所ではないからです。5年くらい前でしょうか、広州へ訪れた時に中国茶に触れ感動を覚え、以来お店でも中国茶に力を入れてきましたが、いつかは武夷山に行きたい、本物を見てみたいと考えていたからです。
武夷岩茶のような青茶は茶樹の品種は多く、百種類以上も在ると言われています。これほどまでに多くの品種がありながら、青茶が生産されている地域はごく限られていて、福建省、広東省くらいです。今回残念な事に武夷山では自分が思うような大紅袍や北斗、肉桂等の茶葉を手に入れることはできなかったのですが、福州政府の方に頼んで念願の大紅袍を手に入れました。可笑しな話かもしれませんが、良い茶葉の大紅袍は武夷山に残ってないのです。しかし、武夷山は地元の方もリゾートと言っているだけあって凄く良いところで、見るべきところは随所にあり感動します。岩山の麓のわずかな土地に品種の違う茶畑があり、それぞれの茶に個性的な名前がつけられているのも岩茶の愉しさを感じました。また、九曲の川下りの景観も印象に残る絶景でした。
 福州市の方は皆、鉄観音を飲まれていて、武夷岩茶と鉄観音は共に青茶ですが、電車で5時間という?北と?南の茶産地の違いで安溪の鉄観音は、茶店でも手間暇かけて丁寧に造っている様子が伺え良い香りがしていたのが印象的でした。 こうして、2週間の研修を無事終える事ができたのですが、2週間と言う時間で得た物はかなり大きく、当初は長い日にちをどう充実させて過ごそうかと考えていましたが、過ぎてみれば余りに短く欲が出てしまう期間でもありました。今回日本中国料理協会にお世話に成って、福州政府関係者や調理関係者には心から感謝しています。今後も福州の方たちと交流を図り、福州料理を学ぶとともに広く広めていこうと考えています。