「仏跳墻」。山海の珍味が入った福建料理の代名詞。フカヒレ、あわび、ナマコを始め、魚の浮き袋、鹿のアキレス腱、花茸、鳩の卵など十数種類の高級素材を原料とする。更に具材より高価ともいえる濃縮スープは、しっかりとした管理の下で飼育された地鶏、豚を大量に使い、四日間掛けて作られる。
 このスープに具材を入れ、蓮の葉で密封し、八時間も蒸しあげるのだから、美味しくないはずがない。その濃厚な味わいは至極であること請け合い。
 今回、四川料理の「華市」が福建料理をメニューに取り入れた訳は、店主の山下さんが、中国政府の招聘により全国で四名という福建研修団の一人として、技術研修を終えて来たからである。 もちろん、この研修の最終目的は、福建料理を広めることにある。
 「福建料理は、広東料理と少し似ています。広東料理が洗練された味を誇るなら、同じ南方系の料理でも、福建料理は素朴な味わいを多く残しています。辛くなく、あっさりとし、香料も効いていません。日本人の舌にとても良く合うんですよ。日本の中国料理の原点ともいえるでしょう。」と教えてくれた山下さん。
 そして、福建省といえば忘れてはならないのが「お茶」。元から清の時代まで、皇帝へ献上するお茶処としてその名を馳せ、今も有名な「武夷山」。
 この地を訪れるという山下さんの念願が、この度の研修で叶ったのである。
 「武夷山」は、連なる奇岩の間や割れ目に茶葉が自生する。その生産量は極めて少なく貴重。今回山下さんは、福州政府の方に頼み、「大紅枹」という茶葉を入手した。茶葉のランクでは、政府が管理している最高級クラス。当然日本では滅多に味わえないこのお茶を、楽しめるのは大変嬉しい。
 更にもう一品は「水煮肉片」。麻婆豆腐が有名な四川料理だが、実はこの水煮肉片こそ、代表格であり、真髄といえる。肉の薄切りを、豆板醤を効かせた多めのスープで煮込み、仕上げに赤唐辛子と花椒をたっぷりと振り掛け、複合した辛さを味わう。
 この本格四川料理の味わいは滅多にお目に掛れるものではない。この料理がある「華市」こそが、まさに真の四川料理店といえそうだ。
●写真左上岩のミネラル分をたっぷりと含んだ岩茶。香り高く味わい豊かで、なんと10煎まで楽しめる。大紅枹
〜タァーフォンポゥ〜
¥1,600
●写真左下に痛い唐辛子の赤。そこにたっぷりと山椒がかかった「麻(マァ)」と「辣(ラァ)」の痺れる味を楽しむ四川料理の名菜。水煮肉片
〜スィズールゥーピィエン〜
¥1,370(税込)
●写真下その名前の由来が面白い。清の時代、「世の中で最高に美味しい料理が食べたい」と思った福建省の大金持ちが山海の珍味を集めさせて釜で煮込んだところ、そのスープのあまりの香りのよさに、高僧が墻(垣根)を跳び越えてやってきたことから「仏跳墻」と名づけられたといわれる中国料理の名菜。「華市」では、予約で承っている。佛跳墻
〜フゥーティアォチャン〜
¥1,600
※2名様よりグルメコース
お一人様 4,000円/6,000円
本文でご紹介したお料理は、グルメコースにてご賞味頂けます。もちろん単品でもご注文できます。(要予約)その他、予約しておけばご予算にあわせて店主山下さんおまかせの<特別メニュー>もお楽しみ頂けます。薬膳コース
お一人様 5,000円