滅多にお目に掛かれない丸々と太った北京ダック。独自ルートで最高のものを仕入れ、最高の調理をして提供している。皮が厚く食感が違うのは、最高級というだけではなく、華市独自の調理方法によるもの。従来北京ダックは高温で焼くが、あえて低温で焼き上げることにより、皮の内部まで熱が加わり、パリッとした食感が引き出される。苦心の末のこの手法のおかげでジューシーで旨味がたっぷり詰まった味わい深い北京ダックが堪能できるのだ。
 
四川は薬膳の宝庫。四川料理は辛いことで有名だが、理に叶った料理技術、献立も取り入れている。そんな四川の成都に中国で最大規模の生薬市場がある。「その市場に行きたくて、また体に良いものを提案したくて薬膳の勉強を始め、『薬膳調理指導員』の資格を取得。この資格は、薬膳を学び、日頃の調理技術に役立てるためのものである。
 そもそも薬膳とは、中医学理論に基づいて作られた食事で、その目的は病気の予防と回復、そして健康を保つことにある。
 中医学とは、病気の手前の段階で治療を行い、病気の世界に入らぬようにする中国伝統医学。草根木皮や鉱石を組み合わせて薬とし、自然に順応させ、季節にとれる作物を食すこと(天人合一)を心得とする。例えば暑い夏には、身体を冷やす働きがある茄子や胡瓜を食す。また、一年を円に描いて、次の季節への身体作りのための食事をするのだ。
 五行理論というものがある。五行とは木・火・土・金・水という五種の物質運動。「木」があるから「火」が生まれ、「火」が燃え尽き「土」に帰り、「土」の中から「金属」が生まれ、「金属」の周囲に「水滴」が溜まり、「水」のおかげで「木」が育つという理論。世の中が循環運動で成立していることを説いている。
 この属性で春・夏・長夏・秋・冬という季節は、それぞれ人体でいう肝・心・脾・肺・腎と相関関係がある。例えば夏は食欲が減退し、冷たいものを多くとるため脾臓と胃を害しやすく、これらの機能が損なわれ食欲不振、倦怠感が現れる。従って夏負けしない体力は、夏の前の5月には備えていなければならない。
 難しく考える必要はない。薬膳とは、日頃の生活の中で心掛ける食事であり、身体に優しいご馳走である。見て食欲が湧き、食べて口福を味わうことで、活力ある身体を創り出す。華市はそんな中国文化の華を全身で堪能できるお店である。

1)手羽を落とし、舌を抜き、
食道を引き抜く。
2)内臓を取出して内部を
きれいに洗う。
3)右脇に小さい穴をあける。 4)皮と身の間に空気を送り込む。
5)熱湯にくぐらせ皮を張らせる。 6)水を切って尻を竹串で
縫い合せる。
7)ダックの顎にフックを
掛けて吊るす。
8)水飴をまんべんなく塗り、
2日間しっかりと乾かし
(重要ポイント)焼き上げる。


ウロコが食せ、野菜もふんだんにとれる一品。斬新な盛付けが創作料理的だが、中国料理の基本をしっかり守っている。ウロコを立たせ、最初は高温、次に低温で揚げ中まで火を通す。身が締まり過ぎたり、ウロコがまるまったりしないよう温度の見極めが重要。黒酢ベースのソースで食す。野菜はエンダイブ、金針菜で、ニンニクとナンプラーのオリジナルソースで和えてある。魚、野菜の2種類のソースが融合することでまた違った風味と旨味が現れる。